2 選挙?どん底・・・選挙?最近は選挙カーが煩い。 夕闇の中に高いトーンで下らない名前が聞こえてくると壁との大事なお話の邪魔。 ネット配信映像で見たのだけれど・・・ 東京都知事選に立候補した自称極左活動家の政見放送が凄かった。 『三文小説家』や『宮城の田舎者』、『建設屋』なんかを持て囃し、表のメディアは全く無視したようだが。 政見放送は一切TV局の手が入らない。 今は収まったようだが、十数年前の参議院選挙では放送禁止用語のオンパレードで社会問題になった記憶がある。 先ず皇居を向いて深々と礼をして。 「天皇陛下は神様です。」 ・・・ 右翼団体の白い山羊ヒゲおじいちゃん。 「オカマが選挙に出て何処がいけないの?」 ・・・ 出るのは勝手だが・・・誰も投票しないだけだと思う。 「ミンナでUFOを呼びましょう!」 ・・・ 参院選とは全く関係ないと思うのだが。 下らない『お笑い』よりもズッと笑えた。 多分、百万円を超える選挙供託金を捨てる覚悟があれば何でも好きなことが言える。 都知事選の自称極左活動家は・・・ 「多数派の奴等が占めるこの国で私は少数派だ。」 「多数決で決まる選挙なんかで、この国が変わるなんて思っていない。」 「それに私には建設的な提案なんかはない。ただ、打ち壊すことのみ。」 「私が選挙で勝てば、多数派の奴等はビビる。」 「・・・私もビビる。」 少し可愛らしい自称極左活動家である。 選挙と云えば・・・ 『愛と幻想のファシズム(村上龍著)』 米国による海外資産凍結に伴い、日本国は外貨準備高が激減して貿易が出来なくなろうとしていたのが背景である。 (総選挙について討論するTV番組に出席した主人公の冬二。) 「さっき、この選挙は何も解決しないとおっしゃいましたが、それに対して、上田先生から、選挙というのは解決の手段ではなく、解決するスタッフを選ぶものだという、まあ、原則論的な意見が出されました。」 司会者の言葉に、俺はテレビカメラのレンズを見つめた。 「重要なことは、今ここでこうしている間にも、この国の外貨が増えていないということなのです。 わたし達は、飢餓と破滅に向かって一歩、一歩、確実に進んでいます、ほとんどの人は、スーパーマーケットから食料品が消えてしまわないと気が付かないでしょう、コインを入れれば何でも自動販売機から出てくるとずっと長いこと信じているからです。 例えばエチオピアでは1980年代に人口が約三分の一に減少しました。日本でも同じことが起きるとはまだ誰も思っていません。 そのような悲劇は前触れが何回かあって訪れるものではなく、ある日、突然に起こるのです。 この選挙が終わって、政治スタッフが決まり、新しい政策を考える、もちろんその過程でも飢餓への進行が止まることはありません、何の解決にもならないと言ったのはそういう意味です、食べるものがあるうちは、おしゃべりはいくらでもできます、解決の手段ではなく解決を実行するスタッフの選択だなどというおしゃべりが食べられればいいんですけどね、おしゃべりはいくらでも生産可能ですが、食べられません。」 (「愛と幻想のファシズム」より引用) 日本国を含め、未だ世界は、この作品ほどは疲弊していない。 だが・・・ 近年、大型化を加速する台風やハリケーン。そして冬の『嵐』。 世界規模での農作物飢饉。 暖冬に見られる気温上昇により、何時日本国で起こっても不思議でないマラリアなど伝染病の爆発的な蔓延。 昔から良く聞く病気なのに、余り皆さんはご存知ないが、マラリアには未だワクチンがない。 一度罹患すれば、何度も40度近い高熱に魘され、治療に酷く時間がかかる上に、完治することはない。 最近、エルニーニョは収まっていると聞く。 だから、原因は『地球温暖化』しか考えられない。 エルニーニョもまた『地球温暖化』が原因とする説もあるし。 『北極の白熊が絶滅する怖れがある』なんてことで漸く米国も重い腰を上げたようだ。 大被害をもたらしたハリケーン『カトリーナ』なんかじゃなく、『白熊』が原因なのは如何にも米国と云う気がするが・・・。 米国は、最大の二酸化炭素排出国である癖に、ブッシュの猿は国内産業の圧力に負けて、各国の温室効果ガス排出量制限を求めた『京都議定書』から離脱していた。 本日の朝刊によると、『ポスト京都議定書』で、日米が地球温暖化対策で連携するらしい。 27日の日米首脳会談に向けての合意のようだ。 ただ、その隣の記事には『集団的自衛権を見直す』ことを、安倍首相は首脳会談へのお土産にすると報道されている。 私は、喩え意識が彼岸で遊んでいようと、『集団的自衛権』には絶対に賛成できない。 何回も日記で書いているが、有史以来、自ら『侵略戦争』を起こした国なんてない。 この国の『大東亜戦争』も含め、全てが『自衛戦争』として宣戦布告されたのだ。 お隣の『朝鮮戦争』は・・・ 先ず旧ソ連支援により、『北朝鮮』が奇襲で国境を進攻し、朝鮮半島南端付近まで占領した。 その後、米軍など国連の支援により、立ち直った『南朝鮮』が進攻し、国境は、今度は反対に中華人民共和国の近くまで引き上げられる。 中華人民共和国が『北朝鮮』を支援し、人民解放軍を投入した結果、現在の『38度線』まで国境が引き下げられ終結した。 『集団的自衛権』なんてのは、その集団の核になる国によって平気で国境なんか越えてしまう。 防衛庁が防衛省に格上げされても、日本国には『軍隊』はない。 だから『集団的自衛権』が行使される際に、日本国が『司令官』になることは絶対に在り得ない。 『司令官』は、『勝つことが正義』なんて『行け行けドンドン』の米国なのだ。 日本国が戦場になる場合以外は、『自衛隊』は他国で戦うことになる。 そして、『集団』の『国境侵犯』を日本国が止めることなんて絶対にできない。 『自らの意思ではない』としても、何時の間にか『侵略戦争』に巻き込まれてしまう。 それが『集団的自衛権』の怖さなのだ。 『地球温暖化対策』も『集団的自衛権の承認』も同じ安倍内閣により進められている。 だから、或る意味、『選挙』なんて意味がないのかも知れない。 でも・・・ 未だ世界は、日本国は、壊滅的に荒廃している訳じゃない。 「まだ『選挙は、解決を実行するスタッフの選択だ』なんて『おしゃべり』をする余裕はある」んじゃないのだろうか? |